LINE公式アカウントAPIの徹底解説:使い方や最新事例まで

LINE公式アカウントAPIは、企業がLINEプラットフォームを活用して顧客とのコミュニケーションを強化し、マーケティング活動を効率化するための強力なツールです。本記事では、LINE公式アカウントAPIの機能、使い方、料金プラン、最新の活用事例について詳しく解説します。

LINE公式アカウントAPIでできることとは?

LINE公式アカウントAPIは、企業と顧客の間のコミュニケーションをよりスムーズにし、マーケティング活動の効果を高める多くの機能を提供します。

LINE公式アカウントAPIの基本機能

メッセージングと自動応答

LINE公式アカウントAPIの基本的な機能には、メッセージの送信と自動応答があります。企業は一斉にメッセージを配信したり、顧客の問い合わせに対して自動応答を設定することができます。これにより、顧客とのコミュニケーションを効率化し、迅速な対応が可能となります。

ユーザー管理とセグメント配信

APIを使用することで、企業はユーザー情報を効果的に管理し、セグメント配信を実施することができます。特定の属性を持つユーザーグループに対してターゲティングメッセージを送信することで、よりパーソナライズされたコミュニケーションが可能となります。

ビジネスにおけるLINE公式アカウントAPIの活用法

マーケティングキャンペーンの実施

LINE公式アカウントAPIを利用することで、効果的なマーケティングキャンペーンを実施することができます。例えば、新商品やセール情報を迅速に顧客に通知し、クーポンの配布や限定オファーを提供することで、顧客の興味を引き、購買意欲を高めることができます。

顧客サポートの効率化

顧客サポートの効率化にもLINE公式アカウントAPIは有効です。自動応答機能を活用して、よくある質問に対する回答を提供したり、チャットボットを導入することで、24時間体制のサポートを実現し、顧客満足度を向上させることができます。

LINE公式アカウントAPIの豊富な機能

LINE公式アカウントAPIは、企業が顧客とのコミュニケーションを深化させるための多彩な機能を提供します。

高度なメッセージング機能

リッチメニューとリッチメッセージの作成

リッチメニューとリッチメッセージを活用することで、視覚的に魅力的なコンテンツを提供できます。リッチメニューは、ユーザーがタップするだけで様々なアクションを実行できるカスタムメニューを作成でき、リッチメッセージは、画像やボタンを組み合わせたインタラクティブなメッセージを送信することができます。

出典:https://www.lycbiz.com/jp/column/line-official-account/technique/20180731-01/

セグメント配信とターゲティング

セグメント配信機能を利用することで、特定の属性を持つユーザーに対してターゲティングメッセージを送信することができます。これにより、キャンペーンの効果を最大化し、ユーザーのニーズに応じたパーソナライズされたコミュニケーションを実現できます。

ユーザー管理とデータ分析

ユーザー属性の収集と分析

LINE公式アカウントAPIを使用して、ユーザー属性を収集し、詳細なデータ分析を行うことができます。これにより、顧客の行動や興味を把握し、より効果的なマーケティング戦略を立てることが可能となります。

カスタマーエクスペリエンスの向上

データ分析を活用してカスタマーエクスペリエンスを向上させることができます。顧客の行動データを基に、パーソナライズされたメッセージやオファーを提供することで、顧客満足度を高め、リピーターを増やすことができます。

LINE公式アカウントAPIの最新の活用事例

活用事例を参考にすることで、自社でのLINE公式アカウントAPIの効果的な活用方法を学ぶことができます。

1. 店舗アカウントの統合と顧客誘導

複数の店舗ごとに運用されていたLINEアカウントを、統合アカウントに移行する事例がありました。各店舗のアカウントに統合アカウントの案内を表示し、移行した顧客にだけ特別なインセンティブ(プレゼントなど)を配布することで、顧客のアカウント移行を促進しました。これにより、ターゲット層に必要な施策を的確に提供できるようになります​。

2. Webサイトと連携した情報配信の省力化

従来、WebサイトとLINEで別々に情報を配信していた場合、両方のメディアを最新状態に保つために多くの労力が必要でしたが、APIを利用することでWebサイトの情報を自動的に取得し、LINE向けに整形して配信することが可能になりました。これにより、手作業での更新が不要となり、情報配信のスピードが向上しました​。

3. MAツールとの連携によるデータ一元管理

LINEは他のマーケティングオートメーション(MA)ツールと連携しにくいとされていましたが、BOT BOOSTaR®を利用することで、顧客データをMAツールで一元管理できるようになります。これにより、店舗来店時に顧客のLINEでの問い合わせ履歴を参照したり、他のチャネルと統合された顧客体験を提供できるようになります​。

4. 位置情報を用いた店舗検索とナビゲーション

LINE上でユーザーが位置情報を送信すると、近くの店舗を表示し、Googleマップを通じてナビゲーションを開始できるようにする活用事例もあります。これにより、ユーザーは現在地から最寄りの店舗をすぐに見つけることができ、購買行動につながりやすくなります​。

5. 対話型商品検索

LINE内の対話形式で商品検索を行うことができ、ユーザーがメッセージ内で希望の条件を指定すると、条件に合う商品を提案してくれるチャットボットを導入した事例があります。これにより、ユーザーが手軽に希望の商品にたどり着ける体験を提供しています​。

6. セグメント配信とパーソナライズ

LINE内で取得したユーザー行動データ(閲覧履歴や購買履歴)を用いて、セグメント配信を行うことが可能です。例えば、特定の店舗をよく利用する顧客にだけクーポンを送付したり、性別・年齢に応じたメッセージを配信することによって、開封率やクリック率を向上させることができます​。

7. AIチャットボットとの連携

自然言語処理が可能なAIチャットボット(例:CLOVA Chatbot)を活用することで、ユーザーの自由な質問に答えたり、FAQ対応を自動化したりすることができます。また、これらのチャットボットをLINE内だけでなく、ホームページや他の顧客接点にも適用することができるため、全体的な顧客対応力を強化することができます​。

8. LINE通知メッセージ(電話番号ベースの通知)

ヤマト運輸が導入している事例では、LINEのユーザーIDではなく携帯電話番号を使い、LINE公式アカウントをフォローしていないユーザーにも通知メッセージを送ることが可能です。例えば、荷物の配送状況を電話番号ベースで通知することで、顧客に対するサービス品質を向上させています。これは、LINE公式アカウントをフォローしていないユーザーにも接触できるため、企業にとって非常に効果的な施策となっています

LINE公式アカウントAPIを効果的に活用した企業の成功事例

1. 某大手運送会社:電話番号を用いたLINE通知メッセージ

顧客のLINEユーザーIDを持っていなくても、携帯電話番号を用いてLINEで荷物の配送状況を通知する仕組みを導入しています。この機能を用いることで、顧客は荷物の現在位置や到着時間を簡単にLINE上で確認できるようになりました。これにより、電話での問い合わせを大幅に減らし、カスタマーサポートの負担を軽減することに成功しています​。

2. 某ファッションブランド:LINE上でのパーソナライズされた商品提案

あるファッションブランドでは、ユーザーがLINEのトーク内で好みのスタイルやサイズを指定すると、それに基づいて最適な商品を提案する対話型のチャットボットを導入しました。これにより、ユーザーがオンラインストアにアクセスしなくても、LINEのチャット上で商品の詳細を確認し、そのまま購入できる流れを構築しました。結果として、通常のオンラインショップよりもコンバージョン率(購入率)が向上し、売上の増加に貢献しました​。

3. 大手食品メーカー:対話型アンケートを用いたキャンペーン

大手食品メーカーでは、LINE公式アカウントを用いて対象商品の購入者向けに対話型のアンケートを実施しました。ユーザーは商品を購入した後、LINEトーク内でレシートをアップロードすることで、自動的にアンケートが開始される仕組みを取り入れました。通常であれば、外部サイトを介して行われるキャンペーンが、LINEのトーク内で完結できるため、参加者の手間を省き、キャンペーン参加率が大幅に向上しました​。

4. 小売チェーン店:位置情報を用いた店舗検索とクーポン配布

小売チェーン店では、LINEの位置情報機能を活用し、ユーザーがLINEトーク内で現在地を送信すると、近くの店舗を表示し、訪問時に使用できるクーポンをその場で発行するサービスを提供しました。これにより、顧客はクーポンを使って来店しやすくなり、実店舗への集客効果が高まりました。この施策は特に、来店を促すプロモーションとして効果的に機能し、オンラインからオフライン(O2O)のマーケティング施策の一環として活用されました​。

5. ECサイト運営会社:LINE決済を用いたリマインド施策

ECサイトを運営する企業では、LINE APIを用いてカートに入れたまま購入されていない商品(カゴ落ち)のリマインド通知を実施しました。LINE公式アカウントを通じて、購入を忘れている商品をユーザーに自動的に通知し、LINE Payでそのまま購入ができる仕組みを構築した結果、従来のメールリマインドよりも高いコンバージョン率を達成しました。これにより、売上が向上し、リピーターの獲得にも貢献しました​。

まとめ

これらの事例からも分かるように、LINE公式アカウントAPIは企業が顧客体験を向上させるための強力なツールです。各事例に共通するポイントは、顧客ごとにパーソナライズされた体験を提供すること、そしてLINEのAPIを通じてオンラインとオフラインの垣根をなくし、スムーズな顧客導線を確保している点です。これにより、顧客満足度を高め、結果として売上の増加やブランド価値の向上につながることが確認されています。

LINE公式アカウントAPIの料金プラン

LINE公式アカウントには、3つの主要な料金プランがあります。それぞれのプランは、友だち数やメッセージ配信の頻度に応じて異なる月額料金やメッセージ通数制限が設定されています。以下が各プランの概要です​。

1. コミュニケーションプラン

  • 月額料金:0円(無料)
  • メッセージ配信数:月200通まで
  • 追加メッセージ配信:不可
  • 無料でLINE公式アカウントを運用したい場合に最適ですが、メッセージ通数の上限が低いため、友だち数が増えた場合や多頻度での配信には向いていません。

2. ライトプラン

  • 月額料金:5,000円(税別)/月(約5,500円 税込)
  • メッセージ配信数:月5,000通まで
  • 追加メッセージ配信:不可
  • 月5,000通のメッセージを送れるので、少数のターゲットに対して、限定的なキャンペーンや定期配信を行いたい場合に適しています。コミュニケーションプランよりも多くのメッセージを送れるため、少し規模の大きいマーケティング施策に利用できます。

3. スタンダードプラン

  • 月額料金:15,000円(税別)/月(約16,500円 税込)
  • メッセージ配信数:月30,000通まで
  • 追加メッセージ配信:可能(1通あたり~3円)
  • より大規模なマーケティング施策や、大量の顧客にメッセージを届けたい場合に適したプランです。上限を超えた場合は、追加メッセージ料金を支払うことでさらなる配信が可能です。

追加メッセージの料金(スタンダードプラン)

スタンダードプランでは、月30,000通を超えるメッセージを配信する場合、1通あたり最大3円の従量課金制で追加メッセージを送信できます。配信数が多いほど、1通あたりの単価は低くなりますが、詳細な単価は使用するメッセージ数によって異なります。

プランの選択ポイント

  • 少量のメッセージ配信(個人店舗向け友だち数や配信頻度が少ない場合:コミュニケーションプラン
  • 定期的なメッセージ配信(中小企業向け月に5,000通までのメッセージ配信が必要な場合:ライトプラン
  • 大規模マーケティング施策(大企業向け大規模なメッセージ配信を行いたい場合:スタンダードプラン

また、プランの変更は随時可能ですが、ダウングレードの場合は翌月からの適用となるので、プランの見直しを行う際にはタイミングに注意が必要です。

種類と選び方

1. Messaging API

Messaging APIは、LINEのトークルームを通じてユーザーと双方向のコミュニケーションを取るためのAPIです。このAPIを利用することで、以下のことが可能です​。

  • メッセージの送受信:テキストメッセージだけでなく、画像、動画、スタンプ、クイックリプライ、テンプレートメッセージなど、多彩な形式のメッセージを送信できます。
  • リッチメッセージ・リッチメニューの送信:リッチメッセージやリッチメニューを使用して、画像やボタンを組み合わせたインタラクティブなメッセージを作成し、ユーザーに提供可能です。
  • チャットボットの構築:ユーザーからの問い合わせに対する自動応答を設定することで、24時間対応の顧客サポートを実現できます。
  • ユーザーのプロフィール情報取得:ユーザーの名前、プロフィール画像、ステータスメッセージを取得し、パーソナライズされたサービスを提供することができます。

このAPIは、顧客とのやり取りをより効果的かつ効率的に行いたい場合に最適で、企業のマーケティングキャンペーンや顧客サポートで広く使用されています。

2. Webhook API

Webhook APIは、リアルタイムでイベント通知を受け取るためのAPIです。例えば、ユーザーがLINEメッセージを送信したり、アカウントをブロックしたりしたときに、その情報を即座にサーバー側で受け取り、必要なアクション(自動返信やデータ保存など)を実行することができます​。

Webhook APIを利用することで、以下の機能を実現できます:

  • リアルタイムのイベント管理:ユーザーの行動(メッセージ送信や友だち追加など)に即座に対応できます。
  • 自動化されたプロセスのトリガー:特定のイベントに応じて自動化されたメッセージ配信や、アクションの実行が可能です。

3. LINEログイン API

LINEログイン APIを使用すると、ユーザーは自身のLINEアカウントを使って、外部のサービスやウェブサイトに簡単にログインできます。このAPIを利用することで、以下のような効果が得られます​。

  • ユーザー認証の簡略化:LINEの認証情報を利用するため、ユーザーは新たなIDやパスワードを設定せずに、ワンクリックでサービスにログインできます。
  • 顧客データの取得:ユーザーがLINEログインを通じて登録した場合、名前やメールアドレス、LINE IDなどの情報を取得することができ、サービス提供をパーソナライズすることが可能です。
  • 友だち追加やID連携:LINEログインを通じて、LINE公式アカウントの友だち追加やID連携を一度に行うことができ、ユーザーの利便性を向上させます。

4. LINEミニアプリ API

LINEミニアプリ APIは、LINE内で動作するウェブアプリを作成するためのAPIです。ミニアプリを利用することで、以下のような機能を提供できます​。

  • 予約システムや会員カード機能:ユーザーはLINEアプリから直接、予約の管理や会員カードの確認を行うことができます。
  • 店舗情報や在庫状況の確認:ユーザーが来店する前に、店舗の営業時間や商品の在庫状況などをLINE上で確認できる仕組みを作成できます。
  • LINE内での完結したサービス提供:別アプリをインストールすることなく、LINE内で必要なサービスを完結させることができるため、ユーザー体験を向上させます。

5. LINE Things API

LINE Things APIは、LINEアプリとIoTデバイスを連携するためのAPIです。Bluetooth Low Energy(BLE)デバイスを操作したり、デバイスからデータを受け取ったりすることが可能です。

  • デバイス操作と制御:例えば、LINEを使ってスマートホームデバイスを操作したり、センサーのデータを取得して分析することができます。
  • LINEを介した通知やアラートの設定:デバイスの異常を検知した際に、LINEメッセージで即座に通知を行うことができます。

6. LINE通知メッセージ API

LINE通知メッセージ APIは、ユーザーの電話番号を指定してメッセージを送信できるAPIです。通常のLINE公式アカウントでは、LINE IDを友だち追加したユーザーにしかメッセージを送れませんが、このAPIを使用すると、LINE IDを持たないユーザーにも通知を行うことができます​。

選び方のポイント

  1. マーケティング施策の強化:顧客とのコミュニケーションを重視する場合は、Messaging APIを活用してリッチコンテンツやチャットボットを導入するのが効果的です。
  2. データ連携と管理:リアルタイムでイベント情報を管理したい場合は、Webhook APIを選ぶと良いでしょう。
  3. ユーザー認証と利便性向上:LINEログイン APIは、他サービスとの連携や、ログインの簡略化を目的とする場合に最適です。
  4. IoTデバイスとの連携:LINE Things APIを活用することで、LINEアプリを使ってデバイスを管理・制御できます。

これらのAPIを組み合わせることで、顧客体験を向上させ、効率的なビジネス運用が実現できます。どのAPIを導入するかは、ビジネスの目的と顧客ニーズに応じて選びましょう。

まとめ

LINE公式アカウントAPIは、企業が顧客とのコミュニケーションを強化し、マーケティング活動を効率化するための強力なツールです。この記事を参考に、自社のビジネスニーズに最適なAPIの活用方法を見つけ、効果的なコミュニケーション戦略を構築してください。